調査・整備

毎年恒例の知床岬への徒歩巡視ですが、今年も環境省レンジャーのサポート役で歩いてきました。

大時化だったので、出発を一日延期。翌日もまだ波が高く、へつり箇所の通過はギリギリ。

トッカリ瀬のへつりはロープ使用。

歩いて行くうちに波も収まり、引き潮なので歩きやすくなる。

メガネ岩のへつり

ペキンの鼻では、知床エクスペディションツアーに遭遇。

今回は大荒れの知床岬が回れず、岬台地を赤岩までカヤックを曳いたとのこと。詳細は新谷さんのブログへ。


近藤ヶ淵を高巻きせずに通過できた。ここまで潮が引くことはめったにない。

初日は滝の下まで歩きBC設営。


BCからの日の出


カブト岩の高巻き


知床岬灯台


今年もここへ来ることができました。


モイレウシの通過は靴を濡らす

ヒグマとの遭遇は3日間で延べ10頭でした。

知床岬で仲良く食事中


クライミング中

今回も6月とは思えない寒さや高波、ヒグマに悩まされる厳しい3日間でした。
しかし日本でこのような冒険ができるフィールドはそう多くはないでしょう。
冒険心を持った若者は是非徒歩での知床岬到達を目指してもらいたいものです。

高巻き箇所や、残置ロープ状況にも毎年変化がありますので、現地で必ずルサフィールドハウスに立ち寄って最新の情報を入手してください。
また、このルートを歩く人に守ってもらいたいルールがありますので、必ず読んでから出発しましょう→シレココ

前回の続きです。

三日目は曇りだが、海は穏やか。落合湾を出発して半島を南下します。

知床川の大滝


滝行するヒグマ(カシュニの滝にて)


ウブシノッタやカムイワッカの河口では、硫黄成分で海がこんな色に。

この日はゆっくり8時間漕いで、イロイロ川まで。
ここはいつもヒグマが出る場所ですが、今回は遭遇せず。

夕陽もキレイでした。

四日目も曇りだが、無風で凪。
この日は観光船に気を付けながら、五湖の断崖、男の涙、フレペの滝などの景勝地を通過。

五湖の断崖にある青い洞窟。小樽が有名ですが、知床にもあります。小さいですが。


無事ウトロ到着!
財団の若手職員2名はカヤック経験ほぼなしでしたが、持ち前の体力とセンスで70㎞を漕ぎ切りました。

今回は海が荒れず風も吹かず雨も降らず、気温も快適で暑くも寒くもなく、本当に好条件に恵まれました。
知床のカヤックは本当はもっと危険で大変なんですが、無事に終わったので良しとします。

おまけ

男の涙にいたトドの幼獣。数日前からこの場所にずっといるようです。
なんかの理由で海に入りたくないんでしょうかね。

8/1~4の3泊4日で、知床半島(相泊~知床岬~ウトロ)をシーカヤックで回りました。
今回は知床財団の調査業務ですが、サポート役を仰せつかり若手職員2名とともに2艇で相泊から出艇。

途中で友人の昆布漁師に出逢い、昆布漁を見学させてもらいました。

8月末まで天然昆布漁は続きます。

モイレウシに立ち寄り、探検隊を表敬訪問。


この日の羅臼側の海は、珍しく午後になってもベタ凪でした。


一日目は赤岩まで。
上陸する前に岬へ漂着したミンククジラの死骸を見に行きましたが、すでに骨になっておりヒグマが付いている様子はなし。

二日目は早朝の凪を狙って、難所の知床岬をかわす。

少し前にマスコミに取り上げられた通称「パンダグマ」。

アブラコ湾に上陸。ここは知床岬地区で唯一野営が認められている場所です。(海岸段丘の台地上は野営禁止)

知床の岬にハマナスの咲くころ

今回の調査目的は「知床半島先端部利用の心得」改訂にあたり、パンフレットやリーフレットを作成するための資料集めと、
シーカヤックで半島を周回する利用者に役立つ情報収集です。

珍しく凪の知床岬をかわして斜里側に回り込み、順調に漕ぎ続けます。

通称「海賊湾」と呼ばれる青い湾


2日目は通称「落合湾」にてキャンプ。
風や波から守られた狭い湾で、水も取れるためキャンプ適地の一つです。

後篇に続く

6/13 快晴
一日停滞して体力も回復し、満を持しての知床岬アタックです。

カブト岩頂上


カブト岩の下降。支点がないので毎回アンカー持参です。


岬台地はタンポポ満開


国境標と灯台


知床岬到達!


念仏岩BCへ帰着

6/14 晴れ 最終日。今日中に相泊へ帰らなければならない。

BC撤収中


テントを畳んで出発しようとした矢先、突然現れたヒグマ。
遠慮がちにそそくさと目の前を通り過ぎた。


帰路も10時間以上かかる長い道のり


ペキンの鼻の鳥居で安全祈願


モイレウシの高巻き箇所


帰りはひたすら歩く歩く。
メンバーも皆元気いっぱい。天気に恵まれ10時間ほどで相泊へ帰着できました。

帰ってきて知床岳の遭難を知りました。
同じ日に我々も念仏岩で停滞、強風低温で辛い思いをしていたので身につまされる思いです。

知床半島先端部は自然も気象も厳しい日本の極地。
十分な装備と経験、自己の体力技術を把握して行動しなければ危険が伴う場所です。
だからこそ目指す価値があり、徒歩で到達したときの喜びは大きいものです。
日本ではなかなか味わえない探検・冒険の世界がここにはまだかろうじて残っていると思います。

最新の巡視情報はルサフィールドハウスや羅臼ビジターセンターで提供していますので、知床岬や知床岳を目指す人は必ず立ち寄って情報を仕入れてください。
ルサフィールドハウス

おまけ
今回遭遇したヒグマは3頭と例年に比べ少な目でした。

知床岬のオスは大きかった

今年も環境省の巡視業務で知床岬まで歩いてきました。
6月に相泊までの道路が開通したばかりで、数か所か、昨夏の台風被害がまだ残っています。

6/11 曇りのち雨 4:30相泊スタート。

いきなりカモイウンベの橋が崩壊している。かろうじて渡れたが登山靴は濡れることが前提。


ウナキベツの橋も流され、倒木を渡ることに。
これがなくなれば水量が多い川なのでここでも靴が濡れる。
知床岳を目指す人もここを通過する。


岬へのルート名物「へつり」
ホールドは脆く、重荷を背負ってなので見た目より大変。


モイレウシ川も増水。このあたりから雨が本降りになる。


近藤が淵の高巻き


滝川(崩れ滝)の渡渉


12時間かけて念仏岩まで到達。ここをBCとする。

6/12 晴れ。強風低温で真冬並みの寒さ。

一日停滞して体力回復に努める。
知床岬から流れてくる雲が速い。海は大時化で漁船も見えず。

6/13 快晴

洞窟からの朝陽。
風もなく穏やかな朝。今日は岬へ向けて出発できる(後篇へ続く)